身につく知識・技術と得られる能力

在宅看護ケア実践を行ううえでの基本的知識と実践手法を修得できます。
なおかつ、慢性疾患等の医療的ケアを要する人とその家族が日常生活を営むうえで必要な意思決定を支え、可能な限り快適な生活が支援できる人材を育成します。
また、在宅における多職種専門職者とチーム医療を実践し、地域住民への知識・技術の推進と普及ができ、地域在宅において医療的支援を要する人々のケアに関するリーダーシップがとれる人材を育成します。

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身体状況査定法:在宅では、病院のように測定機器がそろっているわけではありません。看護師の五感を大切にし査定に関する判断基準の基礎を身に着けておく必要があります。その方法について、各講義で伝えていきます。
臨床推論技能:患者の主訴や既往歴、身体所見から鑑別できる疾患や異常の早期発見と悪化予防に結び付けることができる判断能力を養います。
理論を用いて患者家族を理解する方法:理論は事例に当てはめるのではなく、事例理解を深めるためにあります。どのようなときにどのような理論を用いて理解を深めるのが適切なのかについて習熟します。
倫理的問題の認識と解決法:臨床実践では、患者や家族の倫理に配慮できず、また何が倫理なのかがわからず悩むことが多いと思います。何度も事例ディスカッションや演習を行いその悩みを解きほぐしていきます。
末期がん・認知症・嚥下障害・感染などへの看護知識と技術:一度学んだことだけど忘れてしまった。また、最新の看護の動向を知りたい。このような悩みにお答えします。
ケアに関するジレンマへの問題解決技法:臨床実践故に悩ましいことが多く存在すると思います。一人で考えないで参加者と教員とで時間をかけて考え、考え方の道筋を学んでいきましょう。
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フィジカルアセスメント:大学や専門学校で深く学んでいなかった場合もあるでしょう。しかし安心してください。「アドバンスドフィジカルアセスメント」という科目を学びますから系統的に包括的に学ぶことできます。この科目は、大学院修士課程の院生も同じ内容を学びます。科目履修単位を将来本学の大学院に入学したいときにもいかせます。
患者と家族の意思決定支援能力:臨床でどのような意思決定支援が必要でどのように具体的援助が行えるのか。意思決定に影響する要因とともに検討し、効果的な支援方法について考えます。
在宅ケアに関連した倫理的課題の解決支援能力:大学院修士課程の院生とともに参加する授業科目「看護倫理」を学び、倫理的課題を解決できる手法を習熟したうえで、事例や演習に取り組みます。
認知症ケア能力:認知症のステージ別アプローチと認知症者への効果的な援助法を学びます。また実務家による認知症に関する在宅や介護施設における医療支援の実際と地域医療の在り方について学びます。
嚥下障害ケアとそのリハビリテーション能力:嚥下障害の病態と生理、嚥下機能、リハビリテーションについて、嚥下の実際を体験しながら学びます。呼吸筋リハビリテーションの手技手法を実演で学ぶ授業もあります。
感染管理能力:多剤耐性菌問題を世界的視野でとらえ、身近な臨床現場での対策・地域連携について学びます。また褥瘡予防やポジショニングについても学びます。
子どもの病気とその対応能力:重症心身障害児の現状と身体的特徴や合併症、効果的な看護について学びます。
難病ケア能力:難病の療養者の病態生理や身体・精神・社会的な特徴、療養生活への看護について学びます。また難病の療養者と家族の倫理的課題について参加者とディスカッションを行い、倫理的な判断能力を養います
住民の看護力向上支援能力:地域住民の災害への備え能力向上のための介入方法や、女性の健康維持、精神障がい者の介護継続に関するアセスメント方法、急病への対処方法、家族の健康など病気予防や健康維持に関する基本的な考え方と援助方法を学びます。

 

開講内容(4科目 計135時間)

修了要件

本プログラムの修了要件は、上記の必修4 科目(各2 単位)の合計8 単位を修得することが求められます。修了者には文部科学大臣認定の本プログラム「履修証明書」を授与します。
また、本プログラムで修得した「アドバンスト・フィジカルアセスメント」「看護倫理」の単位は、本学大学院修士課程に入学した時に、既修得単位として認定します。(修了後一定年数を経過した場合には、既修得単位として認定できないこともあります)

カリキュラム・シラバス

本プログラムは、4 月上旬の受講生オリエンテーションからスタートします。時間割等の開講スケジュールはその時に説明しますが、カリキュラムとシラバスについては出願前に下記のホームページで詳しく見ることができます。

兵庫医療大学 職業実践力育成プログラム

Q&A 良くある質問

Q.どのくらいの頻度で学校に通う必要がありますか?一回の授業時間はどの程度ですか?
A:4科目を1年間で履修するので、基本的に2週間に1回程度学校に来る必要があります。社会人の皆さんが学ぶ講座なので基本的には土曜日か日曜日だけに設定しています。1回に9:30-16:50まで授業(1コマ90分×4コマ)を受けると思ってください。ランチ時間1時間を挟んで午前午後2コマずつです。しかし、ディスカッションや演習が多いので、退屈はしないと思います。
Q.1年間の履修で包括的に学べるのは魅力的だけど、行けない日があったり突然いけなくなったりしたらどうしたらいいんですか?
A:あらかじめ受講できない日程が決まっている場合は、担当教員に知らせておいてください。突然参加できなくなった場合は、担当教員にお知らせください。受講仲間に伝達していただきその日の担当教員に知らせていただいてもよいです。ほとんどの授業は複数教員が担当するオムニバス方式なので教員は毎回違います。
ご注意いただきたいのは、各科目授業は履修取得単位の対象となりますので、その授業科目を3分の1以上休むと、単位を取得できません。
単位を取得できなかった場合、翌年に限り、次の学年の人と一緒にその科目を履修することが可能です。
Q.将来は本学の大学院への進学も検討しているのですが、履修した科目の単位は活かせるのでしょうか?
A:「アドバンスドフィジカルアセスメント」「看護倫理」は大学院履修科目なので活かすことができます。
ただし、履修後一定期間を過ぎると無効になります。そのほかの2科目(「在宅看護ケア実践」「ベストプラクティス実践」)は本プログラム特有の科目なので大学院入学時の認定科目ではありません。
Q.将来大学院への入学を考えていますが、入学試験で免除される内容はありますか?
A:「アドバンスドフィジカルアセスメント」「看護倫理」は履修科目として認定されます。
しかし、入試については通常の受験が必要です。あらかじめ学びたい領域の担当教員と一度面談し入学の意思を固めてください。
Q.大学院入学には大学を卒業していることが必要ですか?
A:必ずしも必要ではありません。何らかの認定教育を修了している、学会発表業績があるなどの場合は、事前認定審査を受け認められますと受験資格を得ることができます。詳細は大学院入試要項をご覧ください。
Q.プログラムの修了要件を教えてください。
A:必修4科目(各2単位)の合計8単位を習得することが求められます。修了者には、文部科学大臣認定の本プログラム「履修証明書」を授与します。
Q.プログラム履修生は大学内施設を利用できますか?
A:利用できます。授業日に図書館が開館している場合は、利用することができます。Eメールアドレスが付与されますので教員との連絡をとるのも便利です。
Q.書籍購入などが必要になるなど授業料以外の費用がかかりますか?
A:基本的に、書籍購入等の義務はありません。授業内で参考図書や情報提供がある場合がありますが、購入を義務付けたりはしません。
Q.授業内でレポート提出を求められたりしますか?
A:授業によってはあるかもしれませんが実績としてはあまりないです。その授業を欠席した欠席者への救済措置として授業担当教員がレポートを課す場合があるかもしれません。
Q.プログラムに興味はあるけど授業についていけるか不安です。
A:参加者が能力不足を感じるような授業はありません。逆に、受講して勉強しようという意欲が沸くかもしれません。その場合はせっかくですから一生懸命勉強してください。
Q.大学が自宅から遠くて通えるか心配です。
A:三宮はJR新快速や阪急電車、阪神電車、神戸市営地下鉄が止まる便利な駅です。三宮からは、スクールバス(片道250円)やポートライナーがあり、頻繁に走っていますので問題ないと思います。
Q.自宅から自家用車で通学したいのですが可能でしょうか?
A:残念ながら大学の駐車場は使えません。歩いて5分程度の近隣に一日中駐車しても700円のパーキングがありますのでそちらをご利用ください。

修了生の声

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病院看護師 Aさん
在宅看護に興味を持っていたので参加した。今まで経験してこなかったことや初めて聞くことが多くあり、病棟と在宅の相違点など様々を学ぶことができた。
倫理の授業で習った考え方を、「ベストプラクティス実践」授業で有効に活用しディスカッションに参加できたと思う。病棟での意思決定支援や患者の想いをどう聴けばよいのかを考えられるようになった。
今後はスタッフのなかで率先して実践していけると思う。
病院看護師 Bさん
上司から勧められ参加しました。知識の振り返りができ、知ってるけどやり方がわからなかったことがわかり、連携についてどこにつなげばよいかなど考える勉強になった。
看護師だけの知識で頑張るより、これは多職種連携で実践するほうがよいということも考えられるようになった。
今後は、家族へも提案ができるようなればよいなあと思う。
伝える力、聴く力を得たので、これからどんどんつなげていきたい。
倫理について今までこんなに考えることがなかったので、退院支援を含めた倫理観について病院のなかでリーダーシップをとれるよう、その役割を担っていきたい。できるだけ多くのジレンマについて考えていきたい。職種が違った時の価値観も考えていきたい。
病院・訪問看護師 Cさん
今までの実践でひっかかってきた事は全て倫理的なことで、患者とスタッフ間のずれであることがわかった。
知っていたが使えていなかった知識と技術があったが、使えるようになると方向性が見えてきた。
病院と訪問看護の両方をしているが、今後倫理課題事例があればよく話し合って実践していきたい。
どこにつなげたらいいのかわかったので今後実践で活かしていきたい。自分の考えを相手にうまく伝える力をどう育てていくか今後の課題です。
訪問看護師 Dさん
20年以上前に訪問看護をしていたが現状が変わってきたので受講した。
看護倫理の基準が自分の中でぐらぐらせずに、これでいいんだという自覚ができた。
決めつけからその人にとって大切なことを考えられるようになった。
いろんな方とのグループワークがとてもよかった。世界が広がった。自分の考えを他人に伝える力がとても大切だと思う。自身も今家族介護の最中で、すごく学んだ。こんなに楽しいんだと学んだ。
看護師 Eさん
受講のきっかけは、看護職の自分に今後何かできることはないかと思ったからです。
参加した、バリバリの訪問看護師さんや大病院の看護師さんらの最先端の話に刺激を受けた。
なによりも看護倫理については自身の学生の頃にはなかった知識です。
自分がやりたいことの整理ができて、じわじわと自分のやりたいことがみえてきて、つながってきたことが自分の学びです。今、新しいことを考えていて、この決心ができたのがここです。
病院看護師 Fさん
在宅看護のイメージがわかない状況でそして在宅看護を知りたかった。
退院後のイメージができ患者さんにも自信をもって話せるようになった。退院調整もできるようになった。
今までベストをめざしてきたが、ベターで良いんだという視点も持てるようになった。
今までは自分の考えで倫理的課題を決定してきたが、授業で学び、いろんな人の意見がちがうことも学べた。今後どうするか決めていないが、勉強を続けていきたい。
訪問看護師 Iさん
一人で訪問するので自分の判断が正しいのかどうか悩むことがあった。モヤモヤすることもあった。
そこは倫理のことを自分がわかっていなかったからなんだと気づいた。
倫理観の点検ができたという学びをこれから活かしていろんな人と話ができるように仕事をしていきたい。
訪問看護師 Jさん
「もがいています」と願書に書いた。根拠を学んでくるようにと友人に言われた。
自分たちが良いと思うことが、患者の最大の利益とは限らない。そのあたりが今までわかっていなかった。
患者に充分情報提供してこなかったかなと思う。資料を見直しなにかのときに引き出したい。
スタッフ間の考えの違い、撃沈を繰り返してこれまでしんどかった。
自分の思うスタイルできてきたので、これから考えて進んでいきたい。
この人にとって何がよいのか。自分の職場でも事例検討をやっていけたらと思う。